

森からの緑のそよ風が心地よい「半兵衛の家」。小さな枕も用意されており、湯上がりにごろりと横になることもできる。

抜群の眺望を誇る「天空の露天風呂」。写真の男性用「雲海の湯」はもちろん、他の2つも吉野川の青石を生かした野趣あふれる造り。湯に濡れると、つややかに青色が冴えて美しい。

朝霧、夕霧、狭霧と3つの貸切風呂が並ぶ「半兵衛の五右衛門風呂」。夕暮れどき、森にとばりが下りはじめると、灯りがともされ情緒もたっぷり。 |
千数百メートル級の山々が連なる祖谷の里。かつては四国のチベットとも呼ばれていた場所だ。
眺めに一見の価値ありと聞いて、宿に着くなり飛び込んだ露天風呂。そこからは、うっそうとした森に覆われた山々の稜線が、パノラマビューで見渡せた。目の前をさえぎるものが全くない。開放感あふれる絶景に、こころまで解き放たれた気分。生まれたままの姿で湯につかりながら、天を仰ぎ自然の恵みを肌に感じるのは、最高の贅沢である。まさしく別天地。「天空の露天風呂」というふれこみに間違いはなかった。
V字に深く刻まれた渓谷にへばりつくようにして建つ「湯元新祖谷温泉ホテルかずら橋」。その名が示すように、このあたりの宿でもいちばん「祖谷のかずら橋」に近く、車でわずか数分の距離だ。
ホテルの裏山にある「天空の露天風呂」へは、三階の中庭から山小屋風のエレベーターで昇っていく。ゴトゴトと、約二分で到着。男性用の「雲海の湯」の隣に女性用の「樹海の湯」が、そして奥には四国では珍しい男女混浴の露天風呂「筍の湯」もある。天空の眺めを楽しむなら、「雲海の湯」か「樹海の湯」がおすすめだ。混浴風呂は、どちらかといえば少しプライベートな雰囲気で、水いらずの家族連れやカップルに人気だとか。
絶景と湯のぬくもりをたっぷり味わった後は、露天風呂の近くに設けられた湯上がり休憩所「半兵衛の家」へ。本格的な茅葺屋根のこの家は、板の間にむしろ敷き、真ん中に囲炉裏がきられ、薪がチロチロ燃えている。
「この火は、一年中一日も欠かさず焚くんですよ。しかも雑木を。そうしないと、屋根の茅に虫がついたり、腐ったりするんです。昔の人の生活の知恵ですね」。その場に居合わせた女性スタッフが、問わず語りに教えて暮れた。ここでは湯上がりに、冷たい山の湧き水と地場産のお茶がいただける。祖谷の往時の暮らしぶりがしのばれるこの場所で、自動販売機から買うジュースやビールでは、味気ないというわけだ。
障子戸を開けると、山の空気をたっぷり含んだ風とともに、白く飛沫を上げながら流れ落ちていく一筋の滝が姿を現した。湯にほてった体の熱が、すぅーとひいていく。先刻から鼓膜の奥に響いていた水音の正体が、やっとわかった。
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