
宿泊棟からは、どこへ行くにもこの中庭を通ることになる。建物の中に閉じ込めてしまわず、風や緑や太陽とふれあう時間を持たせてくれるのも、エコロジーホテルならではの心遣いかもしれない。

籐の家具や土佐和紙の照明器具などが、すっきり品良くレイアウトされた室内。露天風呂付きの特別和洋室や、車椅子での利用を考えたバリアフリールームも用意されている。

日本の古い焼き物や100年以上前の書院建具で造ったテーブルがアジアンテイストの家具と絶妙な調和を見せるロビー。手前のバー『菩提樹』では、ビールやカクテル、コーヒーも楽しめる。 |
この国で、もっとも自然で美しい川といわれる四万十川。その雄大な河口の丘陵地に、太平洋を望むようにして佇むのが、四万十の宿である。四国のアウトドア派にはお馴染みのオートキャンプ場『とまろっと』と、道路を挟んで目と鼻の先。天然木をたっぷりと使い、あたりの雑木林に溶け込むように造られている。
小さな花壇や、木を敷き詰めた歩道のある中庭を囲むようにして、木造の宿泊棟とロビーが配されている。外から見ると、ホテルというよりは、ヨーロッパのしゃれた集合住宅のような雰囲気だ。客室は、和とバリテイストを折衷したセンスの良いインテリアでまとめられている。天井が高く、バルコニーも広々。窓の外、目の前の林から聞こえる野鳥の声がやけに近い。海のすぐ傍にいるはずなのに、なんだか森のホテルにいるような不思議な気分に誘われる。
少しずつ趣のきの違う30の部屋は、窓からの景色によって『光』『風』『天海』『木立』の名がついている。この日、泊まったのは『光』。翌朝、木々の間を抜けて障子越しに差し込む陽光が、なんともやさしく美しかった。
ここは、日本初となるリゾート型のエコロジーホテルである。エコロジーホテルとは、省エネ、リサイクルなどの環境対策を設計・企画段階から実施する理念を取り入れたホテルのこと。つまり、環境と調和することを目指している。四万十の宿は、「自然といっしょに呼吸する」ことをコンセプトに設計されたという。
太陽熱を利用した温水給湯設備や、雨水での散水、自然採光、自然換気で省エネを図るなど、至るところに環境配慮がなされている。建築前にあった立ち木を建築後に施設内に移植したり、海の眺望をあきらめて周辺の林をそのまま残したりと、もとの生態系をなるべく壊さないような気遣いも見られる。
木、石、漆喰、竹などをふんだんに使っているのも特徴だ。中庭の木の歩道は、廃材となった枕木だった。ロビーのインテリアには、古い民家から解体された梁や建具などが見事に再生されていて、アジアンテイストの家具とお洒落にマッチしている。
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